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脚本:百円ケーキの歌

百円ケーキの歌

「百円ケーキの歌」…2時間ドラマ

昭和56年7月16日放送[2時間物(日本テレビ)]…700円

脚本:西条道彦

 聴覚障害者たちがケーキ売場の店員になるという、札幌での実話をもとにしたヒューマンドラマ。(読売ゴールデン)

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脚本:百円ケーキの歌

 「百円ケーキの歌」(イントロ)
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  読売テレビ「木曜ゴールデンドラマ」


 (昭和56年7月16日放送・2時間単発)


 タイトル『百円ケーキの歌』


 脚      本 西 条 道 彦
 演      出 小 泉    薫
 プロデューサー 階 堂 昌 和(読売テレビ)
           馬 道 春 夫(松    竹)


 登場人物


 岡 崎 三矢子………真 野 響 子
 岡 崎 敏 夫………長谷川 裕 二
 小 林 圭 子………長 谷 直 美
 小 林 信 子………白 川 和 子
 小 林    透………
 岩 崎 克 子………土 部   歩
 岩 崎 五 郎………高 松 英 郎
 岩 崎 則 子………長 内 美那子
 井 原 弓 子………高 原 陽 子
 井 原 とよ子………高 田 敏 江
 遠 藤 たかね………木の葉 ノ コ
 寺 岡 桐 子………北 見 誓 子
 笠 原 みどり………風 見 りつ子
 西 田 社 長………山 内   明
 柴 崎 部 長………三 谷   昇
 花 村 課 長………野 村 昌 央
 石      丸………浜 村   純
 大 山 一 郎………仲 谷   昇
 倉 島 一 子………斎 藤 美 和
 奥 山 部 長………水 谷 貞 雄
 福 島 店 主………小 鹿   番
 平      田………杉 本 考 次
 労  務   者………織 本 順 吉
 そ  の  他
 手 話 指 導………丸 山 浩 路
     〃    ………山 口 万理子
     〃    ………鈴 木 康 子


 1 地下鉄・走る電車の中
   初夏。
   夕方のラッシュ。
   スーパー「札幌」
   乗客たち、スシ詰めでゆられている。
   岡崎三矢子(30)も、バランスをくずし
   た姿勢で耐えている。
   顔をしかめる。
   先刻から、背中がもぞもぞおかしな動き
   にゆさぶられている。
   ラッシュとはいえ、あまりにも不自然な
   動きに、遂にたまりかねてふりむく。
   三矢子の背中に胸を押しつける姿勢で立
   っている和服の晴着姿の美しい娘小林圭
   子(20)が、ひどい恐怖の表情でもがい
   ている。
   眉をひそめる三矢子。
   圭子の尻を、痴漢の手が大胆に這いま
   わっているが、圭子は声をたてない。
   サラリーマン風の中年男が、そっぽをむ
   いて、そ知らぬ顔でたのしんでいる。
   三矢子、圭子の動作の原因をたしかめた
   いが、身動きがとれない。
   痴漢の手、圭子の身八ツ口から胸へすべ
   り込む。
   圭子、叫びださんばかりの顔でもがく。
   周囲は天井をむいて眠ったり、競馬新聞
   をもちあげて見入ったりで、ゆれに身を
   まかせ、他人には無関心だ。
   三矢子、電車のゆれを利用して、やっと
   の思いで体をずらせる。
   痴漢の手の動き──
   三矢子、目を丸くし、手の主の顔に目を
   移す。
   その途端、電車のブレーキに、大きく人
   波がくずれる。
   電車がとまり、降りる人の群れにさから
   って残る三矢子。
   乗客の過半数が入れかわる。
   先刻より少し体の余裕ができて、吊り皮
   につかまった三矢子、ふと見ると圭子が
   降りたホームの柱にもたれるようにしゃ
   がみ込んで、手で顔を覆い肩をふるわせ
   ている。
   ハッとなる三矢子。
   すぐ近くに先刻の痴漢がいる。
   三矢子、はずみをつけて、痴漢に体当た
   りをくらわせて、ホームへ──
                     

 2 同・札幌駅・ホーム
   間一髪、三矢子がとび出したうしろで電
   車のドアがしまる。
   腹に肘鉄をうけた痴漢が顔をしかめたま
   ま発車。
   うずくまった圭子の背中が泣いている。
   破れた引出物の袋から、ウェディングケ
   ―キを切った一切れらしいケーキがころ
   がり出ている。
   そのケーキが踏みつけられる。
   通行人はみな知らぬ顔でいきすぎる。
 三矢子「(歩みより、なかば叱るように)元気
  だしなさい。大声あげればよかったのよ」
   だが、圭子はまるで反応を示さない。
 三矢子「(背をかがめて耳もとへ)ちょっと…
  ……」
   でも、全く無反応。
   三矢子、圭子の肩を叩く。
   ビクッとなって見あげる圭子。
   涙の顔が、三矢子をも恐れる様子で、逃
   げるように上体をそらせる。
   三矢子、何やらピンとくるものがある。
   試みのつもりで、ぎこちない手話で語り
   かける。
   以後、(手)は手話。
   (S)はスーパーで無音。
 三矢子「(手)(S)お立ちなさい」
   三矢子の手をみつめた圭子の表情が、恐
   怖から安心へ、安心から歓びへとかわっ
   ていく。それを見る三矢子の顔にも、思
   いがけず得た歓びが湧く。
   三矢子の顔をまっすぐ見た圭子、大きく
   うなずいて立ちあがる。
   思わず手をとりあう二人──
                     

  タイトル
                     

 3 同駅・改札口
   三矢子、元気づけるように圭子の背中に
   手をあてて、階段をあがってくる。
   別れる前に、ちょっと圭子を隅へ連れて
   いき、着クズレを直してやる。
 三矢子「(手)(S)さよなら、気をつけてね」
   なみはずれて表情のゆたかな圭子、満面
   に感謝の色をあらわして、達者な手話で
   礼を言い、手をふって改札口を出て行く。
   見送る三矢子──
   圭子、ふりむきふりむき、たちまち人の
   流れの中へ消えて行く。
   階段へむかいかけた三矢子、立ち止まる。
   どうしても気になる。きびすを返し、定
   期券を出して、改札口を出る。
   人の流れを縫って追う。
                     

 4 走るバスの中(札幌市内)
   五時半頃。まだ明るい。
   最後部の座席で三矢子と圭子がゆられて
   いる。
   明るい性格の圭子はすっかり打ち解け、
   三矢子の中にも、手をさしのべないでは
   いられない強い何かが育っている。
   圭子がメモ用紙に書いてわたす。
 三矢子「(読む)イトコの結婚式で、母がこの
  着物つくってくれたんです……そうお。(手)
  いいお母さんね?」
   大きく体ごと頷く圭子のしぐさが愛らし
   い。
 三矢子「(手)しあわせなのね?」
   圭子、頷いて手話。
 三矢子「(首をかしげ)(手)(S)もっとゆっくり」
 圭子「(頷いてゆっくり)(手)(S)お姉さん、ど
  うして手話できるんですか?」
 三矢子「ああ……」
   語ろうとするが、彼女の手話の実力では
   むずかしい。圭子、そういう時のために
   常備しているメモ帳を早速だす。
 三矢子「(かきながら)ボランティアのお手伝
  いをしたくて、時々市役所の講習会にいく
  の」
   読んだ圭子、さらに親しみを深める。
 三矢子「(手)(S) 学生さん?」
   圭子、首を横にふり、メモにかく。
   「のぞみ更生園という所で訓練うけてい
   ます」
 三矢子「(読んで)ああ、(手)(S)そこなら知っ
  てるわ」
   圭子、「本当!?」とばかり目を丸くする。
                     

 5 バス停・A(札幌郊外)
   バスが来て停まり、降りる数人のあとか
   ら圭子、つづいて三矢子が降りる。
   三矢子、時間が気になるらしく、ちらっ
   と腕時計を見る。
   圭子は嬉しげに三矢子をふり返る。
                     


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