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脚本:平手造酒

平手造酒

「平手造酒」…前後編(2回)時代劇

脚本:西条道彦

昭和44年3月19,26日[1時間物(テレビ朝日)]…700円

 神田お玉が池にあった北辰一刀流千葉周作の道場玄武館の師範代平手造酒は道場経営に専心する師周作に反逆して破門になる。 恋も希望も失ってさすらう彼が唯一心通わせたのはヤクザ笹川の繁造だった。 人の汚さを嫌い、純な生きかたを求めた彼は、繁造の用心棒となって大利根川で死の剣をふるう。      (主演−鶴田浩二)

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脚本:平手造酒

 「平手造酒」(イントロ)
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 テレビ朝日「日本剣客伝」シリーズ


 (1時間ドラマ前後編)昭和44年3月19・26日放送)


 タイトル『平手造酒(前編)』


 脚      本  西 条 道 彦
 企      画  片 岡 政 義
 監      督  佐 伯   清
 プロデューサー   宮 崎 慎 一
           吉 川   進
 制      作  NET(現テレビ朝日)
            東映京都制作所


 登場人物


 平 手 造 酒 ………鶴 田 浩 二
 お け い   ………藤   純 子
 千 葉 周 作 ………安 部   徹
 千 葉 栄次郎………
 千 葉 ゆか子………桃 山 みつる
 そ の 他


 1 玄武館・前
   道場の前に大きな池──
 N「天保の頃、後の神田松枝町の一帯に池が
  あり、その名をお玉が池といった。後年、お玉
  が池といえば千葉道場の代名詞とされたように、
  そこに、北辰一刀流千葉周作の道場、玄武館が
  あった」
   行き倒れ寸前の貧民たちが通りかかり、威勢
   のいい掛け声に、武者窓からのぞく。
   門番が飛んできて棒で追い払う。
 N「世間の大飢饉もどこ吹く風、門弟五千人を擁し、
  江戸三大道場の内でも随一といわれるほどの隆
  盛ぶりだった」
                     

 2 道場・内
   稽古にはげむ門弟たち──
 N「それまでの剣法といえば、玄妙不可思議な
  宗教用語を用いて、有り難いようでいてさっぱ
  り意味のわからぬ教義が多かった」
   師範の座で稽古を見まもる周作──
 N「が、千葉周作の剣法理論は簡潔かつ平易。
  時代の人の心をつかむのがうまかった彼は、
  剣における実力以上におのれの、そして北辰
  一刀流の名を高めるための計算にたけていた」
   門弟の一人が来て、膝をついて周作に何事か
   を告げ、周作、頷いてすぐ立つ。
                     

 3 同・奥座敷
   廊下を周作がくる。
   床を背に、花岡菊之進と紀伊家の用人
   山本半蔵──
   周作、入ってきて手をつく。
 周作「千葉周作です」
 山本「こちらが先日お話し申し上げた、紀伊様
  ゆかりの花岡菊之進様です。ご入門の儀、
  よろしくお願いいたします」
 花岡「田舎剣法ながら、一応目録を許されて
  (書状をさし出し)高名な千葉先生の門に入り
  たく、江戸へま いりました。何卒よしなに……」
 周作「(書状の中身を改めてから)かしこまりました」
                     

 4 同・道場
   周作の先導で花岡と山本がくる。
   門弟たちが威儀を正して居並び、千葉栄次郎
   が控えている。若い。
 N「千葉の門弟に並外れて強いのが二人いた。一
  人は周作の次男で千葉の小天狗と異名をとる
  栄次郎……も う一人が平手造酒……」
                     

 5 同・裏庭
   ちょっとした梅林のようで、咲きかけの花が美しい。
   くぐり戸をあけて入る平手造酒──
                     

 6 同・道場
   栄次郎と花岡、防具をつけて立ち合う。
 N「当時の千葉道場では、他流派で切紙、つまり
  免許状を授けられた入門希望者は、平手造酒か
  千葉栄次郎 が立ち合って、まずその実力をため
  すしきたりになっていた。勝負は三本勝負……」
   廊下へ平手がくる。
 N「栄次郎は簡単に打ち込んで一本とった」
   周作の手があがる。
 N「次は栄次郎、明らかにわざと負けた」
   周作の手があがる。
   平手の頬にニヒルな笑みが浮かぶ。
 N「そして三本目、栄次郎は簡単にととった」
   平手、バカバカしいといった顔で奥へ行く。
                     

 7 同・平手の部屋
   入ってきた平手、床の間の一升徳利をとり、
   茶碗についでガブ飲み──
                     

 8 同・奥座敷
   周作が花岡にさし、花岡、おしいただいて飲む。
 山本「いやあ然し世に聞こえた千葉の小天狗殿と
  立ち合って一本でもお取りになられたということは、
  大したもんですねえ先生」
 周作「これほどのお腕前とは……」
 花岡「いえいえ(その気になって)さ、先生」
   とさす。
 N「こういうことが相次ぎ、千葉の道場には旗本の
  次三男、大名家ゆかりの者等々、名門の子弟が
  増えて、自然、周作の名は全国にひろまって行き、
  また、全国から門弟が集まって来た……」
                     

 9 同・平手の部屋
   平手、ごろり横になって庭を眺めている。
   廊下を栄次郎が通る。
 平手「あ、栄さん……栄さんどこへ行くんだ」
   が、栄次郎はだまって通りすぎる。
   平手、鼻先で苦笑して目を閉じる。
 門弟A「(来て)平手先生、大先生がお呼びです
  (いい捨ててあたふたと栄次郎を追う)」
 平手「……(目を閉じたまま答えない)」
                     

 10 同・道場前
   門番、物乞いの貧民を追い払っている。
   出てきた栄次郎、ええい邪魔だと、門番と貧民を
   一緒に押し退け、立ち去る。
   不機嫌だ。門弟Aが来て追う。
                     

 11 同・奥座敷
   酒をあおる平手──
 花岡「(平手につぎながら)平手殿と小天狗殿は
  どっちが強いかというのが世上よく噂にのぼり
  ますが、どうなんですか」
 平手「(無愛想に)栄次郎さんにはかないませんよ」
 周作「いや、五分と五分ですな」
 花岡「ほう……平手殿にもお手合わせをねがいたか
  ったなァ」
 周作「それは困ります。栄次郎と平手の力の差が
  あらわれるかもしれませんからな」
 花岡「なるほど。もし私が平手殿と立ち合って二本
  とったら、平手殿より小天狗殿のほうが強いという
  ……」
 周作「(平手の無愛想が気にいらない様子)さよう、
  いずれ折りをみて二人を立ち合わせてみようと思って
  いますが、その楽しみが半減しますからな」
 花岡「そうですか、それは楽しみだな」
 山本「楽しみといえば、小天狗殿と俎橋の鬼勧殿との
  試合もいよいよ間近でございますね」
 周作「ええ……」
 花岡「鬼勧といえば、斎藤弥九郎の三男坊とか
  いう……」
 山本「はい、すさまじいばかりの突きの名手だと
  か……」
 花岡「(頷いて)そのぐらいのことは田舎におって
  も聞きおよんでいる」
 山本「とにかく江戸三大道場の内の玄武館と練兵館
  が道場の名誉をかけての一戦ですから……」
 花岡「小天狗殿に勝たせたいな……小天狗殿が三本
  とれば、鬼勧は私より弱いということになる」
 山本「さよう」
   と笑い合う。
   平手、いい気なものだといった顔で盃をなめている。
 山本「若、そろそろお帰りの刻限が……」
 花岡「そうだな……では先生、今後ともよろしくお願い
  いたします」
 周作「承知しました」
   と手を打つと、門弟が来て手をつく。
 周作「お帰りだ」
   とみずから立って廊下へ向かう。
 花岡、平手には挨拶もせずに去る。
 平手「(やおら立ち上がり)もうさがってもよろしい
  ですね」
   と周作のうしろを通って、廊下を自分の部屋へ
   ひきあげる。
   ギロリとそのほうを見る周作──
   二人の間には、何やら互いに敵意のようなもの
   が流れている。
                     

 12 吉原中西楼(夕方)
   栄次郎が酔ってあばれている。
   門弟Aがとめようとする。
 栄次郎「あるじ、出てこい! 俺をあげられないとは
  どういうことだ」
 番頭「申し訳ありません。フリのお客様はおあげしない
  というのが私共の決まりでございまして」
 栄次郎「うるさい!! 何が決まりだ。俺はあがる!」
 門弟A「若先生、このような大見世ではフリはあげないん
  です。さ、ほかへまいりましょう、ほかへ……」
 栄次郎「やかましい。俺はここへあがる」
 番頭「(店の若い者に)おい、お奉行所へ走れ」
 栄次郎「なに? 奉行所だとこの野郎……」
   と締め上げる。
                     

 13 玄武館・玄関
   門弟Aが血相かえて駆け込む。
                     

 14 同・平手の部屋
   平手、一升徳利を枕に高いびき──
   「平手先生」とかけつけて障子をあけたのは門弟A。
 門弟A「平手先生! おやすみ中を恐縮ですが……」
 平手「何だ騒々しい」
 門弟A「若先生がまた酒に酔って吉原で暴れていらっしゃ
  るんです」
 平手「……暴れたいから暴れているんだろう」
 門弟A「しかし……」
 平手「ほっとけよ」
 門弟A「しかし、また奉行所沙汰になっては困るから、
  平手先生に連れもどしに行ってもらうようとの大先生
  のご命令です」
 平手「俺がふらふら吉原まで行くより、奉行所の役人の
  ほうが早いさ」
   と茶碗に酒をついで飲む。
   かなり酩酊の様子だ。
                     

 15 同・周作の居室
   報告する門弟A──
 門弟A「ひどく酔っておられてとてもあの様子では……」
 周作「ふうむ、そんなに酔ってるのか……よし、今いる
  ほかの連中をかき集めて行け」
 門弟A「はッ……」
 周作「待て(金を出し)役人が来ていたらつかませるんだ」
 門弟A「はい」
   受け取って去る。
   ゆか子が現れる。
 ゆか子「父上、栄次郎が何かまた……」
 周作「恥っさらしめが……」
                     

 16 同・廊下
   急ぎ足で来たゆか子、ふと立ち止まる。
   平手の部屋の障子があき、平手が一升徳利をかついで
   出ていく。
                     

 17 同・裏庭
   裏門への道を、平手がくる。
   ゆか子が追いつく。
 ゆか子「平手様……」
 平手「(振り向いて)ああ……」
 ゆか子「どちらへ?」
 平手「ちょっと、これがなくなったもんでね」
   と一升徳利を見せるが、その時、はげしく咳き込む。
 ゆか子「どうしてそんなにお飲みになるの? お医者様
  からとめられているのに」
 平手「あれは藪医者だね。自分でも米を食っているくせに、
  米から作った酒を目の仇にしていやがる」
 ゆか子「いや、そんな言い方……ゆかがこんなに心配して
  いるのに」
 平手「(可愛いと思う)わかったわかった。じゃ、今夜は
  半分だけにしておこう」
 ゆか子「(嬉しそうに頷くが、ふと)栄次郎がまた何か……」
 平手「ああ、そのことだったら心配することはない。栄さんは
  わかっていてやってるんだ」
 ゆか子「わかっていて?」
                     

 18 日本堤(夜)
   バラバラと人影が散って土手下にひそむ。
   食い詰めた浪人の集団だ。
   土手の高さは一丈あまり──
   吉原帰りの栄次郎が迎えの数人の門弟を従え、
   謡いながら千鳥足でくる。
   浪人たち、頃合いを見はからって飛び出し、
   いきなり斬りかかる。
   栄次郎、酔ってはいても軽くかわして一刀のもとに
  最初の一人を斬り捨てる。
   門弟たち、さっと栄次郎を囲んで備える。
 門弟A「何者だ! われわれを千葉道場の者と知っての
  狼藉か」
   千葉道場と聞いてひるむ浪人たち──
 栄次郎「どけ、丁度いい、斬りたくて斬りたくてうずうずして
  いたところだ。俺に斬らせろ」
   進み出て二人目を斬る。
   土手をひとりの覆面の武士がくる。
   平手だ。
   平手、その様子を見て立ち止まり、あたりを見まわす。
                     

 19 少しはなれた土手の陰
   栄次郎の奮戦の見渡せる位置に、鬼勧こと斎藤勧之助と
   その一味がひそんでいる。
   その後方にヌッと現れる平手──
 平手「ご見学ですかな?」
 勧之助「む!!……何者だ」
 平手「(ニヤリとして)おたがい、名乗らぬほうがよかろう」
   勧之助の門弟の一人がつっかけて来たのを、簡単に
   刀をたたき落として襟首をつかむ。
 平手「主の名を辱めぬうち、早く消えてなくなれ」
   と尻を蹴ると、相手はふっ飛んで行く。
 勧之助「退け!」
   と自分から先に退いて行く。
                     

 20 土手上
   斬られた死体が横たわり、栄次郎、最後の一人が逃げ
   ようとするのを追いすがって斬る。
   後方で見まもっている門弟たち──
 栄次郎「ハッハッハ……今夜は愉快だった」
 門弟A「役人が来ぬうちに早く……また金がかかりますから」
   と促して去ろうとした前方に立ちふさがる平手──
 栄次郎「む? まだ残っていたか、けなげな奴……かかって
   まいれ」
   だが、平手の太刀先は鋭く、相手をなめてかかった
   栄次郎は、草に足を取られて転倒する。
   門弟たち、顔色をかえ、抜刀して栄次郎の前に立ち
   ふさがるが、峰打ちで次々倒される。
   その太刀捌きを見ていた栄次郎、ハッとなる。
   平手、最後に栄次郎に歩み寄り、刃をかえす。
   栄次郎、真顔になって、受けて立つ。
   二人、斬り結ぶ。
                     

 21 C   M
                     


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